「ただ、君が好きだから」

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ドキドキしている私とは対照的に荒木くんは不思議そうに私を見ていた。 荒木くんと一緒に近くのショッピングモールへ向かう。 女の子が沢山いるお店の前に来ると荒木くんの足が止まった。 「荒木くん?」 「えっと……。住吉、適当に見てきなよ。俺ここに居るからさ」 「なんで?一人で待たせるの悪い……」 「いや。だって俺、浮くでしょ?」 苦笑いする荒木くん。 私はハッとして周りを見渡した。 「そ、そうだよね!?ごご、ごめんね!?早く済ませるから!!」 慌ててお店を徘徊する。 店員さんも不審そうに私をチラチラ見ていた。 早くしなきゃ荒木くんに申し訳ない。 とりあえずTシャツと……。 適当に買い物を済ませると荒木くんの待ってる場所まで向かった。 あれ? 荒木くんは? 荒木くんが居なくてキョロキョロする。 なんか、人だかりがあって荒木くん探しにくい……。 人だかりを縫って荒木くんを探そうとすると、その人だかりを作ってるのが荒木くんだと分かった。 え? ええ!? なんか荒木くん、超気持ちよさそうに歌ってる!? ていうか歌上手くない!? ていうか、後ろ向いてるから人だかりに気付いてない感じ!? 周りの女の子なんて目がハートだし……。 この状況で近付くのは流石に気が引ける……。 とか考えていると荒木くんが私に気付いた。 「あ、住吉。もう終わっ……!?」 周りの人だかりを見てギョッとする荒木くん。 それから赤くなった。 何故か巻き起こる拍手。 荒木くんは恥ずかしそうに私の手を取るとその場から逃げるように歩き出した。 無言でひたすら歩く荒木くん。 するとピタッと荒木くんの足が止まった。 .
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