「ただ、君が好きだから」

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なんだって!? 「ごごごごめんね!?直ぐにお金払うから!!」 「いいって。俺の奢り」 「悪いよ!!」 「なんで?別に悪くないけど?」 「でも……」 「気にすんなって。素直に甘えてればいいから」 そう言って笑うから……。 私が荒木くんのこの無邪気な笑顔に逆らえないの知ってるでしょ……。 私は小さく「ありがとう……」と言ってからクレープを食べた。 それから荒木くんの家に一緒に帰る。 「住吉、今日何食べたい?」 「え?あの、私作るよ?」 「いいよ。住吉はゆっくりしてて」 「ううん!居候の身でワガママ言えませんから!!嫌じゃなければ私が……」 「じゃあ二人で作ればいいじゃん」 ニコッと笑うと荒木くんは私の髪の毛を軽くクシャクシャにした。 「で?住吉は何が好きなの?」 「え?」 「好きな食べ物。教えて?」 「好き嫌いはあんまりないけど……」 「そうなの!?すげぇいい子だな!!」 「いい子って……っ。ちょっとバカにしてるでしょ、荒木くん」 少しムスッとして荒木くんを見るとおかしそうに笑う荒木くん。 それから冷蔵庫から食材を取り出した。 二人で一緒に晩ご飯の用意をする。 どうしてだろう。 隣にいるのは荒木くんなのに……。 『萌。小麦粉ついてる』 そう言って優しく笑う雪弥くんが、頭から離れない。 雪弥くん、今どうしてるかな。 私の家に帰ってる? それとも、雪弥くんの実家? 雪弥くんがいたマンション? それとも……。 佐川さんと一緒にいるのを想像して胸が苦しくなった。 あれから雪弥くんは佐川さんとどうなったのかな。 .
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