電話越しに聞こえる甘い声

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朝になって目を開けると、自分の家ではない事にため息をついた。 昨日の出来事は夢ではない。 現実に起きた事なんだ。 ベッドから起き上がってボーッとする。 雪弥くん、どうしたかな。 私の家に帰ったのかな? 佐川さんが雪弥くんを誘っていたらどうしよう。 雪弥くんは佐川さんの家に行っちゃう? あんなに可愛い子に誘われたら行っちゃうよね。 何度も電話をしようか迷った。 でも出来なかった。 怖かったから。 それに、雪弥くんから離れないといけない。 これ以上雪弥くんのそばに居れば雪弥くんは幸せにはなれないから。 ギュッと布団を握り締める。 頭に浮かんだのは荒木くんだった。 『ただ住吉が好きだから』 昨日荒木くんに言われた事が頭をよぎって赤くなる。 荒木くんに、告白されたんだよね……? あんなイケメンに告白されるなんて……。 モテ期……ってやつかな? そんな事を考えながら着替えを済ませて部屋を出る。 荒木くんはもう既に起きていて朝食を作ってくれていた。 「あ、住吉おはよう」 「おはよう……。早いね」 「ソファーで寝たからかなぁ。異様に早起きしちゃってさ」 「ごめんね?ベッド貸してくれて……。これからは私がソファーで寝るよ?」 「そんな事させられるわけないだろ?気にせずベッド使ってよ」 「でも……」 「んー。じゃあ一緒に寝る?」 「え!?」 驚いて真っ赤になる。 そんな私を見て荒木くんは吹き出した。 「ははっ。冗談だよ、冗談。本当に気にすんなって。ソファーも慣れれば案外快適かもしれないじゃん?」 .
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