あ、と思う暇もなく、背中があったかくなる

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驚いた。 まさかそんなこと言われると思ってなかったから……。 「あ、うん。いいよ」 そう言うと嬉しそうに笑う中村くん。 その笑顔が私にとっては殺人的なんですけど!! ご飯を食べ終えて一緒にお皿を洗う。 本当に付き合ってるようでドキドキするよ……。 ひと段落したら仕事に取り掛かった。 丁寧でわかりやすい中村くんの説明。 私が仕事をしている横で中村くんも仕事を手伝ってくれる。 中村くんと私のパソコンのキーボードの音だけが部屋に響く。 私はこの時間も好きだった。 しばらく仕事に没頭して気が付くと中村くんと目があった。 「中村くん?」 「終わった?」 「うん。中村くんが手伝ってくれたから終わったよ」 「そっか。じゃあ風呂はいろっか」 そう言って立ち上がる中村くん。 なんか中村くんから『風呂』って単語を聞くとドキドキするのはなんでだろう。 顔を逸らしながら正座して中村くんを待っていると中村くんがお風呂を入れて帰ってきた。 私を見て首を傾げる中村くん。 「なんで正座してるわけ?」 「なんか、なんとなく……?」 「……緊張しんてんの?」 「え!?」 反射的に中村くんを見てしまう。 すると中村くんが噴出した。 「冗談だよ」 「い、いじわる……」 中村くんと反対を向く。 すると中村くんに後ろから抱きつかれた。 な、なんと!? 本日三回目!? 「明日、楽しみ」 「う、うん……」 「仕事も終わったし、楽しもうな」 「うん……」 二人で笑いあう。 私はやっぱり中村くんがどうしても好きみたいだ。 ~あ、と思う暇もなく、背中があったかくなる~ ・
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