お互いに想い合える幸せを

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雪弥くんと一緒に会社へ向かいながら、私の心臓はドキドキしていた。 あの日の記憶が頭から離れない。 佐川さんを庇う会社の人達の目がとても怖くて……。 ギュッと雪弥くんの手を握る。 雪弥くんは不思議そうに私を見たあと気付いたように何も言わず空いている方の手で私の頭を撫でた。 「大丈夫だよ、萌」 「雪弥くん……」 「俺の事信じて」 雪弥くんの優しい目を見ながら頷く。 私は何も悪い事してない。 それだけは確かなんだから、堂々としてればいいんだ。 深呼吸をしてエレベーターに乗り込もうとすると雪弥くんに手を引っ張られた。 エレベーターとは違う方向へ歩き出す雪弥くん。 「雪弥くん……?エレベーター、こっちじゃないよ……?」 「知ってる」 「こっちは定例会の会場……」 月に1回ある定例会で使用する大ホール。 そこに雪弥くんは私を連れて来た。 「今月の定例会はもう終わってるよ?なんでここに……」 「定例会よりもっと重要なお知らせがあるから」 雪弥くんがフッと笑うと雪弥くんは席の方ではなく舞台の上に私を上げた。 「雪弥くん!?」 いつも社長が立っている場所まで私を連れて来ると黙り込む雪弥くん。 不思議に思っていると次々と社員の人達が集まってきた。 ザワつきながら私達を見て座っていく人達。 全員が集まり座るのを確認すると社長がゆっくり歩いて来た。 「しゃ、社長!?」 社長は私を見て泣きそうに顔を歪め、そして優しく笑うと私の頭を優しく撫でた。 雪弥くんと同じ感覚に、やっぱり社長は雪弥くんのお父さんなんだと実感した。 .
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