prologue

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白。 ここは、真っ白である。 もしかすると、色がないのかもしれない。 光の中のようでもある。 でも私に見えているここは、白。 見渡す限り白で、私が腰を下ろしているこの場所に、地面や床らしいものも何も見えない。影もない。ただ、白だ。 白くてふわふわのマシュマロの中に入ってしまったような、太陽の光を浴びて七色に輝く雲の上にいるような、不思議な感覚。 暖かさが心地よくて、眠気を誘う。 私はゆっくりと立ち上がった。 白い空間の中、私は何の上に立っているのであろうか。もしくは、浮いているのだろうか。 周りを見ても、その答えを教えてくれるものはありそうにない。 私はふと、自分の足元に目線をおろした。 裸足である。白く、小さな足。 どうして、こんなに頼りない足なのだろう。 もう少し健康的なになったらいいのに。 そう思った。 と同時に、自分に対してあまりにも他人事すぎる考えだな、と思った。 心の奥に、なにか引っかかるものがある。 しかし、それが何なのかはわからなかった。 何故ここには何もないのであろうか。 疑問に思うことはたくさんあるけれど、ここにはその答えも、手掛かりすらもないのだ。 そして私の中に、最も重要で、最も単純な疑問が浮かび上がった。 「私は…誰?」
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