先生と幼馴染み。

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スー・・・  淡いピンクが宙を舞い、空にはその青をくり抜いたような白い雲がのんびりと泳いでいて、聞こえて来るのはチョロチョロと流れる川の音。モンシロチョウが花に止まって辺り一面花が咲く。  春は出会いと別れの季節だとか、心機一転の時季だとか、周りは何となく浮き足立つ季節らしいけど。  私に写る春とは、こんな季節だ。  のどかで、ふわふわしてて、何もかもが綺麗に思えてしまう。  だから、嫌い。  どちらかと言えば嫌いな季節だ。  ただ、それは好きか嫌いかと聞かれれば嫌いだって程度の話で春は見たくもない消え失せろと言いたい訳ではない。  まぁ、とどのつまりはどうでも良い。  そう言ってしまえばそれまで。 カシャン・・・  静寂漂う屋上にフェンスの揺れる音が響いた。  その音と、屋上と、背の高さより低いそのフェンスを背中にいつもと同じ場所に座った。  屋上からしたらフェンスより向こうの塀の上。この高校に通い始めて二年目が始まる今日までここは私の特等席。  この塀の、この場所に足を伸ばして後ろに手を付き、空を見上げる。  高い高い、春の空を。  二年目の春、その空は去年と変わらずそこにあった。  そこにあって、白い雲が浮かんでて、太陽は程好い日差しを浴びせてくれた。 スー・・・  春の暖かい風が、私の腰まで伸びた髪をさらって行く。  サラサラと、ハラハラと。  淡いピンクと、宙を舞った。
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