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side 康介
おかしいな。
さっきまでここにいたはずなのに。
もう授業始まったってのに律が来ない。
・・・おかしい、よな・・・。
それにいないのはどうも律だけじゃないらしい。
先生もどうやら気が気じゃない様子だ。
飽きてしまったのだろうか。
・・・いや。そんな簡単に一度決めたことを破る子じゃない。確かに変わった。律はなぜか中学二年の春頃に変わった。けれど本質的なところはなにも変わっちゃいない。
だとしたら単純に・・・
・・・何かあった・・・?
「せん・・・」
せい・・・。
手を挙げて、腹痛でも何でもいいから嘘ついて探しに行こう。そう思って立ち上がったその時、こそこそと静かに教室の扉が開かれた。
「おう。もう授業始まってるぞ。さっさと席に着け」
そこから出てきたのは律とともに教室にいなかった三人だった。
心なしか三人の顔が強張っていた。
そこで確信した。律がいないこととこいつらはきっとなにか関係がある。
だから、問い詰めようとした。
律になにしたって。
律はどこだって。
だけどその瞬間俺の時が止まった。
正確に言えば、この教室全員の、時が止まった。
皆の視線は窓の外。
「「・・・き・・・キャアアアア!!!!!」」
止まった時が再び動き出したとき、教室中が混乱した。
その中で俺は駆け出した。
必死に、必死に、駆け出した。
お願いだ。
お願いだから。
無事でいて・・・。
・・・律・・・_____
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