先生と幼馴染み。

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「そう、私のことー。有名なんだってよ。私、先生方の間で。何言っても聞きやしない、手のつけようのない一匹狼だって。こんな奴この高校始まって以来だ、と。いやー、嬉しいよね。そんなに評価して頂いちゃって」   そう言った君は、笑っていたけど。 「お前さ・・・」 ーーー良いの、それで・・・?  その笑顔の裏には、一体何を隠しているのか。 「・・・ん?何?」  聞かない振りをしただけなのか、本当に聞こえちゃいなかったのか。本当のところは分からなかったけど、どちらにせよ、屋上からの景色を見つめるその瞳を見れば自分がすべきことは良く分かった。 「な・・・んでもねー・・・」  分かったからそれ以上、何も言わなかった。  それが、正解なのか不正解なのか・・・それは、分からないけれど。  だけど、君は、笑ってたから。  何でもないって顔して、笑ってたから。 「あっ、やっべ。もうこんな時間だ」  何気なく携帯で時間を確認すれば、ホーム画面に現れた時間を目にして少しだけ焦る。 「そろそろ戻んなきゃ。お前も気ぃ向いたら来いよな。明日から、教室。なんならこれから帰りのホームルームだけど、来る?」 「行かないかなー」 「だよな。・・・っと・・・じゃあなっ!あっ、その前にお前名前は?」 「笹川 律(ささがわ りつ)」 「さんきゅ!改めてじゃあなっ、リツっ」  俺は屋上を、後にした。  小走りで、駆け出した。  彼女は最後まで特に俺を見ようとはしなかった。  ずっと遠くの街か、空か、空を舞うチョウか。何かをぼーっと、見つめていただけだった。
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