さんにんの

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あ、ちなみに俺は彼女と自分の連れが何やらこそこそ話しているのを、たまたま捕まった幼馴染に近い女子と話しながら発見してしまった。そこで、話をこっそり切り上げて、二人が廊下側の席にいる事を好都合に思いながら、壁にもたれながら静かに聞き耳を立てている。意外と小さい声で話してるのは、きっと俺の彼女と話すという森川なりの配慮なのだろうと、少し感謝をしつつも、本当は声のボリュームを少しだけあげてほしいと思いながら、妙に綺麗な廊下にしゃがんでいる。 「え、そんなところまで敏感なの?」 「そんなところって?」 「あ、やべ、何でもない…今の、忘れて。」 「優さん何か話し…」 森川…後で絶対報復してやる。 「あー、そういえばさ、俺さ、保育士になりたいんだよね、子供好きだからさ、短大とかに行けば資格取れるのかなあ。山下さん知ってる?」 「……」 全然切り返せてないですけど?お前の彼女落とした時みたいに、流暢に言いわけ考えてみろよ。 「あれ、やっぱ怒った?」 「何話したんですか?優さん。」 「別に何も話してないよ。だってまだ…してないでしょ?」 「はい…」 「優はさ、あの見た目で結構一途で真面目だし、何より敏感なタイプだからさ、色々な空気察知する能力半端ないからさ、山下さんがびびってるのとか全部伝わってるから。だから安心して、彼氏に身を任せなさい。」
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