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ゆりこは、バイト先の市役所前のローソンの店長からの紹介で富田新港にありますショッケン(日本食研)の海事部に勤務している39歳の男性と8月2日にお見合いをしたのでありました。
ゆりこはこの時、お見合いをしたい気持ちはありませんでしたが、店長さんが『せっかく神様が与えてくださったご縁なのだから、素直に受けなさい。』と厳しい口調で言われてしまいましたので、仕方なくお見合いを受けることにしたのでありました。
ゆりこは、お見合いの翌日の8月3日にダンナと入籍をしました後にアメリカへ一緒に行くことになったのでありました。
ダンナは、会社からテキサス州のフォートワースにあります駐在所に勤務をせよと言う辞令が下りていましたので、すぐにアメリカに行くことになっていたのでありました。
フォートワースと言えば…
ミアさんのご実家がある街じゃないのよ…
ゆりこは、複雑な思いを抱えたままダンナと一緒に渡米をしたのでありました。
フォートワースに到着後、ゆりことダンナはダウンタウンフォートワースのテキサスストリートにあります家賃10ドル50セントの2階建ての借家で暮らすことになりました。
8月4日のことでありました。
ダンナは、駐在所の勤務初日からメキシコ出張を命ぜられましたのですぐに帰宅をした後に出発の準備をしていたのでありました。
ダンナは、スーツケースに着替えを詰め込みながらゆりこに『メキシコの現地スタッフが急病で倒れたので、ピンチヒッターで来てくれと言われたのだよ…当分家に帰れないから…』と言いましてから『しっかり留守番をしているのだよ。』と生ぬるい声で言ったのでありました。
何なのよ…
何がせっかく神様が与えてくださったご縁なのだからよ…
店長はふざけているわよ…
ゆりこは、つくづくそう思いながら出張の準備をしているダンナを見つめていたのでありました。
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