第1章

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なぜかナナにはすべて聞いて欲しくて、躊躇することなく自然にすらすら話し始めた。 母に会って、母の口から別れたと聞き、ようやく私の中で男に対する嫌な思いを断ち切ることができた。 母がまだ関係を続けていたら、私はずっと男に対して黒い感情を持ち続けていただろう。 誰かに話すことで、私の黒い感情がこれでやっと浄化された気がした。 ナナは目に涙をいっぱい溜めて、聞いていた。 ちょっと前までは、許せなかったし恨みもあったけど、いまはそんな気持ちがなくなった。 母に対しても、あの時は仕方なかったんだな。って思えるようになったんだ。と言ったら、 ナナは 「そうやって思えるようになって、ほんとに良かったね。 お母さん、るりが帰って来てくること、ものすごく喜んでるだろうね。 私は寂しいけど・・・・・」 と言い終わった後、ナナの赤くなった大きな目から、ポロポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちた。 私は、ポロポロと頬を伝わるナナの涙を、タオルで拭いた。
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