第1章

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彼は特殊な職業だった。 周りに同じ職業の人はいないので、彼の仕事の話はすべて新鮮で、聞いていてとても面白かった。 元来、話し上手でユーモアのある彼だから、彼と話す人は誰でも引き込まれると思う。 いつもの様に盛り上がってしまい、彼に切り出すタイミングを見失う。 このまま帰ったら、何のために今日デートしたのか。 期間は、もう残り僅か。 今夜、きちんとケリをつけないと。 一瞬、間が開いた。 「私、地元に帰ることになってね。」 彼は、いままで見たことのない顔をした。 「嘘やん?」 あんなに話が弾んで盛り上がっていたのに、いきなりシリアスな情況に急変させてしまった。
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