第1章

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甘やかされて育ったせいか、身の丈に合った慎ましやかに生活するということができない人だった。 父の月収をオーバーする、分不相応な宝飾類を買ったり、ブランドのバッグを 買ったり散財していた。 母は母親より前に、女が前に出てる人だったという。 いつも化粧をして綺麗にしているが、母親なのにどこか隙があり、男性が入る余地を自ら与えているような人だった。 父と喧嘩した時に、ナナの部屋で電話していた相手は男性だったんだろうな。となんとなく思っていた。 ひょっとしたら、浮気相手と駆け落ちしたかもしれない。 父には言えなかったので、いまの生活に我慢できなくなり、単なる我侭で子供のように衝動的に家を出て行ったのではないか。 と家族の中では、このような見解でまとまった。 そんな幼児性の抜けない母親だったので、父とナナは家族を捨てることにもおかしいと思わなかった。
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