第1章

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ただ、小学生だった弟は末っ子で、甘えたい盛り。 それにまだ小さかったこともあり、母が突然いなくなったことにショックを受けていたという。 兄は口数が多い人ではなかったが、兄弟の中で母に一番似ていた。 母が出て行った後、怒りを露にするわけでもなく特別変化がなく見えたが、父曰く、長男が一番傷つき引きずっていると思う。 と大人になってから言われたことがあった。 それからは、ナナが家事をし、朝は父と兄と自分の三人分のお弁当を作り、弟に朝食を食べさせてから学校に通った。 夜は、父が帰宅後キッチンに直行し、作業服を着たまま晩御飯を作ってくれた。 父が丈夫で器用な人だったので、家事も役割分担して何とかかんとかみんなで協力してやってこれた。 こんな状況の中、ナナは志望校に見事合格し、高校へ入学する。 入学式は忙しい父が半休を取って、一緒に行ってくれた。
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