第1章

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高校卒業後は、家のために働こうと考えていたが、父の薦めで、兄とナナは奨学金制度を受け、大学に進学した。 兄は、父と同じ工学部を目指し、技術系の仕事に就いた。 弟は高校卒業後、就職の道を選んだ。 弟が就職したのを機に、男ばかり三人残すことは心配だったが、ナナは大学卒業後、就職先が家から離れていたこともあり、会社の近くで一人暮らしをはじめた。 毎週末実家に帰り、四人で一緒にご飯を食べた。 弟が成人を迎えたとき、父にずっと夢だった東京本社への希望を出したいと相談する。 父は大賛成で、ナナのスキルアップを応援してくれた。 「若いうちにどんどんチャレンジして、経験することが大切だ。」 と、まだ迷いのあったナナの背中を、父が力強く押してくれた。 結果、本社勤務の希望を出し願いが叶い、上京した。 父のおかげで、兄弟三人とも大きな病気や怪我などなく、ここまで成長した。 我慢強く、愚痴を言わない父。 自分のことより子供を優先し、家計は決して余裕があったわけではないと思うが、大学まで出してくれた父には、本当に感謝している。
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