傲慢者は呪われる―①

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「イケメン!」 青い髪の寝巻き姿の男がそんな台詞を叫びながら小窓へ向かって走る。 そして―― 「なんだ、僕か……」 そう呟いた。 そう、小窓だと思っていたのは洗面所の鏡で、そこに見えた恐ろしいほどイケている顔をした男は――自分だったのである。 「はぁ……」 これで何度目なのだろうか、そう男は思い、ため息をついた。 だが、それも仕方のないことなのである。 男――カルデント・ラッグはこの世界で最もイケメンであり、誰よりも尊い存在だからだ。 「それにしても、寝巻き姿だというのに、信じられないほどに、美しいな。」 つい、そんな言葉が口からこぼれる。 見れば称えないと気が済まない、それほどに完璧なのだ。 才力兼備 眉目秀麗 将来有望 完璧だ。 いや、完璧すぎる。 コンコン 「カルデント様、よろしいでしょうか。」 カルデントが自分の美しさにみとれているとノックの音が響いた。 「入れ。」 緩んでいたかおを引き締め、凛々しく対応する。 「失礼します。朝食の用意が整いました。」 「わかった、すぐ行く。」 「はい。それと、本日は11時から……」 「区長たちとの会合だろう?わかっている。」 「失礼いたしました。それでは、会合の資料です、ご覧ください。」 「ああ。」
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