傲慢者は呪われる―①

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「理由があろうと、この会合を欠席するなんていうことが許されるのですか!」 「まあ、下らん理由であれば許可をしないさ。今回ここにいない理由は、重要な任務を、僕が与えているからだ。」 「カルデント殿からの、任務、ですと……?」 「ああ、そうだ。」 困惑に満ちた様子でおずおずと質問してくるパーカーに、あくまで優しく語りかける。 「君たちの中には、僕が今回の、失踪事件についてなにも考えていないように思っている者も居ると思うが……僕はこの場の誰よりも、失踪者の事を気にかけている。」 「………………?」 その話が、今の疑問にどう関係しているのか、誰もが理解できず、黙り込んでしまっていた。 そんな様子を見て、面白がるように――まるでドッキリでも仕掛けるように――にやり、と笑うと口を開いた。 「そして、僕はついに失踪者の一人、ボット・ガーターを見つけた。」 「な……………っ!」 その発言に誰もが驚いた。 「報告しなかったことは謝ろう、だが、彼の精神状態を見て、今は騒がれない方がいいと考えたのだ、そしてガットには今、彼を病院へ連れていってもらい、母親と会えるようにしてもらっているんだ。」 「……………。」 一同は静まり、今の発言の意味を、考える。 「……ガット氏が重要な任務ゆえに居ないことは、わかりました。だが、それ以外にも彼が副統領であることに不満があります。」 「……ほう、何、かな?」 「彼はまだ、ここに来て半年の未熟者です。そんなやつに副統領など、任せられない。」 「ここに来てからの短さは、僕も大差ないが?」 カルデントがこの役職についてから八ヶ月しか経っていない。 半年のガットと二ヶ月ほどしか差がないのだ。 しかし、その発言にパーカーは更に機嫌を悪くし、苛立った声をあげた。 「貴方とあやつとは違うのです!貴方は前任の頭領の――カルデリシス・ラッグ殿の息子で、幼い頃から才能があった。……突然現れたガット氏とは、違うのですよ。」 「ああ、そうだったな。」 カルデントは含み笑いに、右手で顔を覆いながらそう小さく呟く。 そして彼は思い出していた。 自分が頭領として活躍できるようあの男に与えられた――『設定』を。 「とにかく、何故貴方はそう、ガット氏を優遇されるのか、説明いただきたい。」 顔をしかめながら、そういう彼に賛同するように、その場にいた区長達がうなずき、カルデントを見る。
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