傲慢者は呪われる―①

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「ふむ。」 と。カルデントは小さく口を動かすと、煩わしそうに髪を掻き上げながら言った。 「……彼は僕の恩人だから、ではだめか?」 「……………。」 黙るパーカー。 それは了承ではなく、納得いかないことを示していた。 「………はあ。」 カルデントは大きくためた息を――吐き出した。 本当に、面倒くさい。 そういうように机に肘をつき、手に顎をのせると、口を開いた。 「まあ、確かに僕は彼を特別扱いしているかもしれないが……今回も引き続き彼が副統領であるのは他でもない、国民の意思だ。」 「それは、そうですが……。」 「それに、一つ聞くが、君は普段、何をしている?」 「え……?」 「今日はこのように首都であるガリアンに集まっているが、普段、は、何をしている?」 「それは、もちろん、書類の整理や、秩序を保つためにあらゆる政策を……」 「そうだな。僕もそうだ、だが君たちと違って自分の地区だけでなく全区域の整理をしなければならない。ガットはその補佐をしてくれている。」 「それが、一体何ですか。我々と変わらないではありませんか?」 「――それだけではない。彼は日々、全域を回って実際に警備をしたり、揉め事の解決をしている。君たちのように机に向かっているだけではないのだ。」 「……………それは――」 「今一度言おう。彼が副統領であるのは他でもない、国民の意思だ。彼が国民と積極的に関わりを持っている。」 そこまで言うと一息つき、ゆったりと背もたれに体重をかける。 「僕からすれば、君の言っていることは全て、負け犬の遠吠えにしか聞こえん。まだ、何かあるか?」 余裕たっぷりに、完全に論破した、勝者の顔で、カルデントはゆっくりと周りを見渡した。 全員が、苦虫を噛み潰したような顔をすると、静かに「いいえ。」と答えた。 「ふむ。」 そう、小さく言うと、満足げに笑い、こう、言った。 「さあ、続けようか。」 カルデント・ラッグ 彼は此所、ガルダント国の、頭領である。
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