The Cool

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俺は落ち込みも激しいが、立ち直りは物凄く早い。 『金に綺麗も汚いも無い』 というのが俺の考えだ。 次の日、俺は家族の前で言った。 「資金は出来た! いよいよカマロが近付いて来たぜ!」 「えぇっ!? もう?」 飛竜と風花が呆れたように口を揃えた。 「今年のとーは違うぜ! 気を抜いたら北朝鮮まで飛ばされちゃう位の追い風が吹いてる!」 事情を知っているひとみとお袋は苦笑いを浮かべた。 理由はともかく、カマロ購入を思い立ってから2ヶ月余りで資金が降って来た。 その2日後には国産の愛車を叩き売っての背水の陣だ。 俺は1度決めたら迷わない。 それが俺の長所でもあるし短所なのかもしれない。 しかし、楽しい事にはひたすら前向き。 自分には何でも何とかしちゃう力があると信じている。 バカみたいだが、ずっとそうやって生きて来たんだ。 更に、去年までの逆風はどこへやら。 今年の俺には次々と神風が吹く。 しがみ付いていないとイスラム国にまで飛ばされそうな勢いだ。 2月10日。 係争中の裁判で依頼していた弁護士から電話が入る。 「突然ですが、先方から和解の申し入れがありました。 こちらの条件を飲むので終わりにしたいとの事です。」 2年に渡って悪あがきをしてきた相手から和解の申し入れ…… 今年の俺はやっぱり違う。 俺は今までに準備してきた書類を弁護士事務所の所長に送り付けた。 2日後、所長から『報酬請求権を放棄します』という通知が届いた。 俺は2年に渡る裁判を、相手からは取るだけ取り、こちらの依頼した弁護士には、着手金、裁判費用、成功報酬、全てを踏み倒して決着させた。 今までの逆風の中、俺は頭を下げず風に逆らい、高度を上げてきた。 俺は明るく家族に報告した。 「カスタム費用まで降って来た~!」 .image=493383906.jpg
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