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俺はシゲに連絡し、都合を合わせてBオートに行ってみる事にした。
2月15日、Bオート。
大きな倉庫のような工場に旧いアメ車が20台ほど並んでいる。
しかし、丁度昼飯時だった為か人影は無く、何度呼んでも応答は無かった。
「誰か帰って来るまで見学でもしてるか。」
シゲとひとみと3人で色んな車を見て回った。
アメ旧車全般が大好きなシゲは大ハシャギだ。
俺は本命ではないものの、69カマロを見つけて細部まで覗き込んだ。
しかし、違和感がある……
綺麗過ぎるんだ。
内外装共にピカピカ。
外装を塗り直してあるのはいいが、内装はシートから内張りに至るまで本革で張り直してある。
更にステアリングもシフターもビレット。
(俺が欲しいのはこういうんじゃないなぁ……
もっとヤれてて、時代の流れを感じられるような……)
そんな時、鉄製の階段を上がった2階の事務所らしき部屋のドアが開いた。
その瞬間、シゲがボソリと呟いた。
「居たんだ……」
俺は黙っていたが同感だった。
昼休みとはいえ、販売も行っているショップだ。
客が声を掛けたら顔ぐらい出してもいいだろう。
俺にこのレベルで不信感を抱かせたら終わりだ。
今日は情報収集だけで、ここで世話になる気にはならない。
予想通り、出てきた社長は俺が仲良く出来るようなタイプでは無かった。
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