300人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
俺よりいくらか年下であろう社長は、どこか俺の嫌いなエリート面をしていた。
とにかく理屈っぽくて話好き。
1つ訊くと訊いていない事までを延々と話す。
「68カマロを探してるんですけど…」
「予算は?」
「乗り出しで300位を考えてます…」
社長は少し呆れたような顔をして言った。
「…………
300ですか? ウチでは無理ですね。
もし300万の個体があったとしたら、それはただカマロの形をした車輌というだけですよ。止めた方がいいです。
ウチでは細部まで手を入れて、日本の気候に合わせたカスタムをしていますから。
故障も少ないし安心して乗れますよ。」
「…………
ちなみにあの69はいくらなんですか?」
「車体で500万ですね。」
「500ですかぁ… 乗り出しでは?」
「今からラジエターもアルミ製の新品を組むので、諸費用込みでプラス100万ですね。」
「乗り出しで600ですか……」
俺はシゲと顔を見合わせてため息をついた。
そして、おしゃべりで無礼な社長に苛立ちを表す事無く、お礼を言ってショップを後にした。
.
最初のコメントを投稿しよう!