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高3(18)で車の免許を取り、卒業と同時に実家を離れて神奈川は江ノ島の近くで働き始めた俺は、初めての愛車に430セドリックを選んだ。
とにかくデカい車に乗りたかった。
当時の金額で70万程だったろうか。
それが当時の俺に組めるローンの限界だった。
それから白い車体を濃紺メタリックにオールペンして車高を落とし、ストレートマフラーと呼ばれる消音器の無いマフラーを付け、スピードスターMK1というホイールにピレリーP7というタイヤを履き、神奈川県内を走り回っていたんだ。
20歳になった頃、仲間のコウジのシャコタンプレリュードと2台で江ノ島に渡り、外のベンチに座って缶ビールを飲んでいた俺達の目の前を、今までに聞いた事の無いような排気音を吐き出しながら、ゆっくりと通り過ぎる1台の車。
『ドロドロドロドロドロドロ』
「コウジ、あれ、カマロだよな?……」
「多分…… 何かスゲェな……」
山梨の田舎で生まれ育った俺が初めて目にした初代カマロだった。
気付けば俺は、圧倒的な威圧感を放ちながらゆっくり遠ざかって行く黒い車を缶ビールを放り出して追い掛けていたんだ。
(画像は1968年式シボレー・カマロ)
.![image=492949926.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/492949926.jpg?width=800&format=jpg)
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