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話せば話すほど、社長は俺の心に新鮮な感動を与えてくれた。
俺はお土産に、皆に評判の良い地元の饅頭を渡したんだ。
「社長は酒飲みますか?
もし飲まなかったらと思って饅頭持って来ましたけど…
もし飲むならボクが好きなターキー持って来ようと思ったんですよ。」
「ありがとうございます。
飲めなくはないですけど、今は飲みませんねぇ。」
社長は変わらない穏やかな笑顔で言った。
そして隣で話を聞いていた奥さんが口を開いた。
「お客さんの車がいつ止まるか分からないでしょ?
24時間体制で待ってるんですよ。
夜中でも、どんなに遠くでも、電話があればローダー(車載車)で引き上げに行くんですよ。年中無休で。
だからお酒も飲まないし、旅行も新婚旅行以来行ってないんです。ふふふ。」
それを聞いた社長ははにかむように笑った。
アメ車の事は全く分からないという奥さんだが、社長の仕事に対しては100%の理解を持っている様子が伝わって来て、こちらの心まで温かくなったんだ。
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