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俺は一生懸命、社長に俺の現状を説明した。
20歳の時から憧れ続け、経済的にやっと乗れる所まで来ている事。
縁かどうかは分からないが気に入っている事。
子供達が全員一人立ちし、同時に自宅のローンも終わった事。
たまたま今なら手元に現金があるが、2年後3年後にも残っている保証は無いという事。
ネットで探しても、予算的にこれ以上の車輌は見つからなかったという事。
いつ現れるか分からない『縁』のある車を無制限に待つのは嫌だという事。
「色んな条件を併せて考えると、買うのはこのタイミングしか無いと思うんです。
逆に、このチャンスを逃したら一生手に入らないような気がします。」
さっきまではしゃいでいたシゲが神妙な顔をして黙り込んだ。
社長はしばらく黙って考えている様子だったが、さっきまでの微笑みを取り戻すと優しく言った。
「分かりました。
ボクが大阪まで行って現車確認して来ます。
ボクの判断で、これは止めた方がいい、と思ったら買って来ません。
良かったらそのままローダーで引っ張って来ます。
いいですか?」
「ありがとうございます。
宜しくお願いします。」
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