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いつまで経ってもカマロから離れようとしない俺にシゲが笑いながら言った。
「ヒロさん、そろそろ行きましょうよ。
社長、この人ほっといたら車で寝ちゃいますよ?」
社長と瞳が「クスッ」っと笑った……
事務所に戻り、奥さんが入れてくれたコーヒーを飲みながら再度盛り上がった。
ホントは飲めないコーヒーも、この夜は美味いような気がしたんだ。
そして、社長が笑いながら言った。
「しかし、アレが出て来るとは……
もし矢沢さんがいらないって言えば、本気でボクが欲しかったんですよ。
女房に話したら、『定期を解約してもいいから買いなさい』って返事も貰ってたんです。」
隣で奥さんが微笑んでいる。
俺は何となく居心地が悪くなり、奥さんに向かって言った。
「ボクが買っちゃってもいいんですかねぇ…?」
奥さんは穏やかな笑顔で言ってくれた。
「この人、矢沢さんなら大丈夫だって言ってますよ。」
(俺は皆のお陰で楽しく生きている……)
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