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社長が言うには、アメリカ人はどんなに金持ちでも車にこういう金の掛け方はしないらしい。
だからこそ世界に1台の車なのだと言う。
更に、旧いアメ車には『マッチングナンバー』『ナンバーズマッチ』という言葉がある。
いわゆる未再生車だ。
旧い車は時間の経過と共に、故障や事故、またはカスタムの為に様々な部品が取り替えられていく。
しかし、稀にオリジナルの状態を保った車輌が存在する。
新車登録時に刻印されたナンバー。
ボディ、エンジン、ミッション。
このナンバーが一致しているだけで相場が2、3百万上がるんだ。
このカマロは言うまでもなくマッチング。
俺より遥かに旧いアメ車に詳しい松下さんとシゲは驚きとため息しか出て来ない。
社長が言った。
「あれは初代カマロに限って言えば世界最高の1台ですよ。」
またまた事務所が歓声で沸いた。
それを聞いた瞳がおどけて言ったんだ。
「シゲやめてヒロさんとこ行こうかな?」
「バカ! ダメッ!
それにヒロさん、SSしか乗らないって言ってませんでしたっけ?」
シゲが意地悪な笑顔で訊いてきた。
「バカタレッ!
RSこそがカマロなんだよ!
もっと言えば68年のRS以外はカマロじゃねぇ!」
「あはははは~!」
皆が笑った。
幸せな時間が流れていく……
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