I gatta good motion

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時計の針は夜の8時を回っていた。 「松下さん、時間も時間なんでメシでも食って行きませんか?」 「いいっすねぇ!」 そしてイーグルの側の居酒屋に4人で向かったんだ。 店に入る前に茂の耳元で囁いた。 「カマロが手に入っても、そこからまた金が掛かるからよ。 俺は今日からケチになる! ここもお前の分は取るぞ。 瞳の分は出してやるけど。」 茂は言ったよ。 「何言ってるんすか!? 当たり前じゃないっすかぁ!」 店内に入り、大きなテーブル席に案内された。 壁際の奥に松下さん。 その左側に俺。 松下さんの対面に茂。 俺の対面に瞳。 松下さんと瞳は帰りの運転があるから飲めない。 俺は『松下さん』に向かって言ったんだ。 「松下さん、何でも好きな物食って下さい。 今日はボクのおごりです。 イーグルの社長に出会えたのも松下さんのお陰ですから!」 「ありがとうございます。」 松下さんは遠慮の無い人だった…… 次々に料理が運ばれて来て大宴会が始まったんだ。 初対面だった松下さんとも打ち解け、和やかな雰囲気になった頃に松下さんが話し出した。 「矢沢さん、実はしばらく前、あんまりモノが出て来ないんで社長に言ったんすよ。 『社長、程度の良いトランザムでも見つけて勧めましょうか?』って。 でも社長はこう言ったんすよねぇ。 『それはダメだよ。あの人は絶対カマロ以外には乗らないよ。 もっと言えば、67、69が出て来ても返事しないだろ。』って。 『あの人は筋が通ってる』って言ってましたよ。 『その上、このタイミングでアレを引き寄せるんだからスゴい』って。」 俺は嬉しかった。 社長はキチンと俺の気持ちを理解してくれていたんだ。 .
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