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俺は皆が座っている間に会計を済ませた。
店の玄関を出た時に松下さんが言ってくれたんだ。
「今日は本当にご馳走さまでした。
じゃあ日曜日にまた!」
それに続いて茂と瞳が口を開いた。
「ヒロさん、いつもご馳走さまです!」
「ヒロさん、いつも私までおごってもらっちゃって。
ご馳走さまでした!」
俺の無駄金はこうして消えて行く……
最寄りの中央線駅。
シゲと握手を交わし、瞳の胸をモミモミして別れた。
俺は使った金をこうして回収しているのかもしれない。
多少高い気もするが……
電車に乗りウトウトしているとアナウンスが流れた。
『終点、豊田~、豊田~』
(ヤベ~! 愛知まで来ちゃった!!)
慌てて降りて駅員に訊いた。
「ここ、愛知だよね?」
すると駅員は不思議そうな顔で言ったよ。
「東京の『豊田』ですけど?」
(シゲのバカ……)
「○○まで行きてぇんだけどさぁ…」
駅員が憐れみを浮かべて言った。
「○○方面はこれが最終なんですよ。
今から○○まで行く電車はありません…」
シゲと瞳が言った事で正しかったのは『最終電車』だという事だけ……
「ここで飲んで泊まれるようなとこある?」
「ここで降りても何にもありませんよ…
○○までは行きませんけど、すぐに最終の最終の高尾行きが来ますから、それに乗って八王子で降りて下さい。
八王子だったら飲む処も泊まる所も沢山ありますから。」
そして俺は八王子で降り、1人で深夜営業の寿司屋に入り、一番安い寿司を食いながらカマロの事や人との繋がりを考え続けたんだ。
携帯の充電が切れ、何の連絡もせずホテルに泊まり翌朝帰宅した俺は、ひとみから3日間浮気を疑われる事になった……
(シゲのバカ……)
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