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そして5月17日。
ひとみと2人でイーグルに向かったんだ。
イーグルの側で松下さん、シゲと合流。
アパレルで働いている瞳は仕事で来れないと言うが、
『ヒロさんにヨロシク』
という伝言がシゲから伝えられた。
それだけでも嬉しくなる。
「すぐひとみに見せたい」
という俺の希望で、早速 社長と松下さんも含めた5人で駐車場に向かった。
あの日のようにボディカバーが捲られて行く。
「わぁ~~!」
ひとみの口から、どんな感情とも表現出来ない声が漏れた。
俺はウォレットチェーンを外して財布をひとみに渡し、コンバースを脱いで運転席に乗り込む。
そして、手招きをして右側の助手席にひとみを迎え入れた。
「どう?」
俺は期待と不安を持ちながら訊いた。
(ひとみは気に入ってくれるだろうか……?)
「スゴい好き……
あたし、スゴい好き……」
言った後、ひとみはゆっくり2回まばたきをした。
俺は誰に誉められなくてもいい。
ひとみにだけは俺の気持ちを分かってもらいたかったんだ。
素人が見たら、ただの47年前のヤレた車だ。
ただ、ひとみにだけは俺の気持ちを理解して欲しかったんだ。
「俺に気を使って言ってる?」
「違うよ……
あたし、これ、スゴい好き……」
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