HIS REASON~ある男の事情~

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 拳銃。  リーの小さな手のひらにさえすっぽり収まるサイズだが、光沢のある外見はそれが凶器であることをはっきり示していた。  俺は思わず唾を飲み込み、それからリーから目を逸らした。 「……俺は人殺しなんかしたくない」 「あら、意外」  リーはわざとらしく顔をきょとんとさせた。 「強盗殺人犯の松本舷(まつもとげん)さんにしては、随分気弱な発言じゃない」 「だからそれは!俺じゃねぇ!」
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