理子のお話

3/21
前へ
/36ページ
次へ
一目惚れだった。 学園の高等部への入学式の日、私は新しいクラスメイトを後ろの方の席から何気なく見回していた。 あんまり中等部と変わり映えしないな、なんて思いかながら・・・ 目が留まる。 小ぶりな形の整った後頭部、サラサラの黒い髪、そこから伸びるショートボブの良く似合う長い首筋。それに華奢な肩。 すっくりと背筋を伸ばして座っている後ろ姿に釘付けになった。 知らない子だから、きっと高等部から入ってきた子なんだろう。           カワセ ユイ その後自己紹介で゙ 河瀬 結衣 ゙と名乗った時に聴いた凛とした澄んだ声にドキドキした。 そして振り向いたユイちゃんの伏し目がちな切れ長の瞳と、整った鼻筋、意思が強そうに結ばれた薄い唇・・・その全部に一気に心を奪われた。 女の子・・・そんな事がどうでもいい事に思えた位に、それは完璧な一目惚れだった。 でもきっと女の子なのがどうでもいい、なんて思ってるのは私だけだろうから、こんなに悩んでる訳だけど・・・。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

235人が本棚に入れています
本棚に追加