結衣のお話

2/15
230人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
リコが喋る唇の動きから目が離せない。 たまに唇をはむ仕草。 その後のほんのりと赤く濡れた唇。 それが見たいから・・・ 私、リコが好き。大好きだよ。 心の中で思わず言葉が漏れる。 なんて、なんとも乙女チックな気分。 否・・・ただの欲求不満か?              ノミヤ リコ 今、目の前にいるのが、その野宮 理子。 学園の高等部に入ったばかりの頃から、もう2年近くずっとこんな気持ちに苛まれてる。 お嬢様学校で名の知れてるこの学園は、幼稚部から大学部まであって殆どの子が幼稚部からエスカレーター式に上がってきた子達だった。 リコもそんなエスカレーターに乗っかってきた子の一人。 私はというと母親の憧れを実現するかたちで受験した、高等部からの入学組。 最初は学園に慣れる事に精一杯だったはずなのに、いつの間にかリコばっかり目で追うようになってた。 そして今も私はぼーっとリコの唇に見とれながら、何だか息苦しいような気分になってる。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!