第4章

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 しかし、プレイヤーの台詞には強い感情が込められていた。  まるで、本当に愛の告白をしているかのような。  実際に心情を吐露しているのだろう。  相手は画面のキャラクターではなく、ある一人の人物に対してなのだろうが。  その人物の名前は「御厨町子」……うちの生徒会書記長(せいとかいちょう)に違いない。  問題なのは、プレイヤーの属性についてだった。  俺はそいつの容姿を思い浮かべた。  スポーツが好きなので短く揃えた髪形、日焼けした健康的な肌、長身痩躯のわりに柔らかそうな筋肉、そして何より読者モデルにならないかと有名ファッション雑誌に誘われたきりりとした美貌。  御厨の隣に相応しい外見といえた。  しかし、ある意味で相応しくはない。  なぜなら、こいつは、正真正銘紛れもないほどに確実な「女の子」であったからだ……
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