第5章

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 毛利が息を吐くたびにやつの股間のあたりから、ゲームのBGMに紛れて、くちゃくちゃねちゃねちゃという音がする。  どうやら白っぽいパンツを掃いているだが、なんと左右を紐で縛るタイプという、男を誘っているとしかみえない品だった。  その中に手を突っ込んで、いろいろと弄りまくっているらしい。  一昨日の御厨の場合、指の平で撫でたり、指を一本ずつ控えめに差し込んだりして、おそるおそる快感を味わっていたみたいだが、毛利の場合、大胆に掌で撫でさすりつつ力任せに性器をこすりまくるというアグレッシブなスタイルのようだ。  さすが運動娘、というところか。 「はぁ!はぁぁ!……くぅん、あっ!」  自室だからかそれとも両親が留守だからか、声を抑えようともせずに心行くまでに刺激を堪能しているさまがある意味で新鮮だった。 ただし…… 「会長、可愛いよぉ! 食べちゃいたよぉ!」  と、完全に自分の欲望がだだ漏れになっていて、実際におかずにしているのが誰なのか簡単に想像できる点はかなりドン引きものではあるが。  会長とは、十中八九、御厨のことだろう。  画面のエロゲーキャラは御厨の代用品なのだ。  要するに、毛利阿澄(もうりあすみ)はレズビアンであり、同じクラスの美少女である御厨に惚れているいるのだ。  しかも、オナニーのおかずにしてしまうほどに。   天井を見ると、隠し撮りしたらしき御厨の写真が大判に引き伸ばされてポスターのごとく貼られていた。  かなりヤバいレベルの執着だ。  こうなると、御厨の私物を机やロッカーから盗み出した理由も簡単に推理できる。  マニアのコレクションというわけだ。 「あひぃぃ、町子……なんて可愛いの、もっと泣き叫んで! お尻をこっちに向けて!」  酷いものだ。  好きな女を妄想の中でいたぶっているよ、こいつ。  夢の中でフェラチオさせていた俺とどっちが最悪だろうか。  右手が激しく動くたびに肩がびくびくと震える。  頭を反らせて左右にふるからか椅子がギシギシと鳴り、不愉快な気分になれる。  いくら親がいなくても激しすぎるだろう。  ま、そろそろ頃合だな。  俺は扉を開けていつものように中に躍りこんだ。 「そろそろ止めとけ、バカになるぞ」  入り口にある電灯のスイッチを点けた上で、毛利の頭を引っぱたく。 「え、何、お母さん!」  この間の御厨と似たような顔をしていた。
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