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実は似たもの同士なんじゃねぇか、こいつら。
「俺だ、笛吹だ」
「え、笛吹……どうしてうちにいるの?」
俺は事態を完全に把握される前に畳み掛ける作戦に出ることにした。
「おまえに学校ではいえない重要な話があったから、わざわざ家まで会いに来たのに、インターフォンを押してもでてこない。なぜか、玄関の鍵が開いてたから、もしかして泥棒かと心配してみたら、二階から変な音がするから悪いと思っても部屋まで来てみたら、これだ。エロゲーみてオナニーするなんて、女として終わっていないか。しかも、途中から書記長の名前を連呼しだすし……」
「か、勝手に人の家に入ってきておいて、警察呼ぶよ!!」
「ま、俺も童貞だから女の子のオナニーなんかみたら硬直してしまったけど、それにしても、おまえ、酷すぎんだろ。ちょっとは慎みを覚えろ。喘ぎが廊下に木霊していたぞ。ご両親が泣くぞ」
「……な、何を、言って……」
「ああ、もう逆ギレしてもだめだぞ。おまえの性癖というか、弱みは握らせてもらった。これ以上、何かいうのなら、明日の学校はこの話題で持ちきりになるな。『運動部のカリスマ、毛利阿澄(もうりあすみ)、学園に咲くユリの花! お相手は生徒会書記長! ご主人様と呼ばせたい!』ってな」
「……それは止め……て」
「だったら、俺の話を聞け。ちょうど、さっきも言ったが、俺はおまえに用があってここに来たんだから」
俺は改めて部屋の中を見渡し、毛利のベッドに腰を下ろした。
それから、三枚張ってある御厨の大判写真を指差し、おもむろに口を開いた。
「……おまえが持っている書記長のロッカーのスペアキーを返せ。おまえのキーはここにあるから」
そういって、キーを目の前でひらひらさせた。
毛利の目が見開かれる。
「どうしてって顔だな。俺は書記長に依頼されて、彼女のロッカーを荒らしている奴の調査をしていたんだよ。そこでおまえが犯人だとわかったんで、こうやって直接交渉にきたというわけだ」
「なんで、私だと……わかったの?」
「それはな……」
俺は御厨にしたキーのすり替えのトリックをまた説明した。
それだけじゃなく、どうして毛利が犯人だと特定できたかも説明した。
御厨にはあえて説明しなかったが、この案件では犯人の特定は実にたやすいのである。
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