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げっ、桜瑛。
なんでアイツまで、此処に居るんだよ。
「秋月さま、お入りください」
華月が声をかけると、
静かに扉が開かれて着物姿の桜瑛が
ゆっくりと病室の中に歩いてくる。
「これはこれは、秋月の火綾【かりょう】の君」
「其方が手紙の主、柊ですか?」
桜瑛は手紙を握りしめながら、問いかけると
生駒の神子はゆっくりと頷いた。
その後、ようやく気が付いたようにボクの視線を捕えると
「神威っ!!」っといきなり抱きついてきて、
次の瞬間「神威のバカ」っと頬を平手打ちしてきた。
頬を手で摩りながら桜瑛と向き直ると、
次の瞬間には目に涙をいっぱい溢れさせながら泣き始めてる。
*
どれだけ忙しいんだよお前は。
*
呆れながら心の中で呟く。
「さて、ご当主も火綾の君も揃われましたし
柊殿、本題を……」
終息した頃に、ベッド上の華月が呟く。
すると生駒の神子は、
ゆっくりとボクと桜瑛、飛翔を見つめながら
両の指で、何かを描くように動かして
口元で小さく呟く。
次の瞬間、両手で柏手を叩くようにパンっと一つ
音を鳴り響かせると、次は深い息を吐き出していく。
全ての息を吐き出した後、
おもむろに一息ついて、再びボクたちの方を見た。
「生駒の神子、何をした?」
「徳力のご当主。
いえ、この時より古の呼び名で。
宝【ほう】さま、私の呼び名は柊【ひいらぎ】で結構です。
先ほどは、この病室の隅々にまで、蒼龍の加護による
結界を張り巡らせました。
不浄の者より、この言霊【ことだま】を守るため」
「言霊を守る?」
「さようでございます。
力ある者たちが紡ぐ言葉は、その言葉が魂を持つ言霊。
その力をカムナなどに狙われては行けません故。
私がこの場をおさめました」
柊が告げる言葉は少し難しい。
「ご当主、柊殿は現在、唯一、龍神の加護を得られし方。
雷龍の神子であられるご当主・炎龍の神子であられる火綾の君。
お二人に、その龍のご加護の使い方を指南するべく、
今宵は出向かれたよし」
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