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一人一人、症状の違う患者の仮想カルテを用意して
国家試験を終えたばかりの、膨大な記憶が残った脳内から
自分なりの診断を弾き出す。
研修医の身では、弾き出した診断が正しいものかどうか
判断能力にかける。
それ故に上級医師への相談が必要になる。
それぞれに上級医師にコンサルテーションをしているように
練習をしていると、その日は成元御大と嵩継さんが顔を見せる。
急きょ、実戦形式でコンサルスタート。
患者自身はそれぞれに仮想患者データー。
ここに居合わせた連中がそれぞれに、
成元御大と嵩継さんそれぞれのところにいってコンサル研修開始。
「由貴、お前さんは丁寧だけどいまいち観察力が甘い。
それに今の状況考えろ。
プレゼン聞いてんじゃねぇ。
弾き出した診断的には間違ってないが、
その病名を弾き出すための決定的なものが今一つ欠けてる。
ギャンブルしてんな。次はコンサルしやがれ。次、早城」
何時もは兄貴分的な雰囲気を醸し出す嵩継さんも、
この時ばかりは妥協しない。
えっと……確か、プレゼンとコンサルはわけるんだったよな。
由貴が怒鳴られてたのは、
アイツが混ぜてまとを得なかったからだろ。
まずは相談できる状況か、確認するんだったよな。
とりあえず深呼吸を一つして話かける。
「嵩継さん、一件相談にのっていただきたいのですが
お時間宜しいですか」
「あっ、あぁ……相談な相談」
突然、実戦モードに入った俺に嵩継さんは驚いたような表情を見せて
すぐに平静を装った。
「尿管結石の35歳の男性で特に既往歴はありません。
昨日発症の尿管結石がCT上7ミリの結石が動脈交差部付近に見えていて
水腎も確認できています。
特に発熱や無尿等なく、NSAIDs【エヌセイズ=解熱鎮痛薬】で
鎮痛も出来ていますが、5ミリ以上なので今後の方針を相談をさせて頂きたいのですが」
仮想カルテのデータをカンニングペーパーでもある
参考書の要点を重視させながら、状況を報告していく。
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