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ふいに振動する携帯電話。
待っていたと思われるのが嫌で、
何回か着信が鳴り続けるのを待って電話に出る。
「あぁ、起きてたか」
「起きてる。
21時で消灯時間は過ぎてるけど、
早すぎるんだよ」
何故かアイツと言葉を交わすときは、
喧嘩腰と言うか、ツンケンした言葉遣いになってしまう。
「まぁ、怒るなって」
「別に怒ってなんかない。
飛翔の電話が遅かっただけだ。
規則を破ったのは、お前の責任だ」
別にアイツの責任にするつもりなんかないのに、
そんな言葉がついて出る。
「そうかよ。
こっちの仕事があっからな。
明日、いつもの時間に海神まで迎えに行く」
「わかった。
遅れたら承知しないぞ」
「あぁ、気をつけるさ。
じゃあな、風邪ひかずに過ごせよ」
そう言ってアイツの声はプツリと途切れて切断される。
携帯電話を握りしめながら、
ボクはポツポツと歩いて自分の部屋へと戻って
ふて腐れるように布団の中に入った。
翌朝、いつものように午前中の授業を受けて
寮へと走って帰る。
外出届を出して、待合室でアイツが姿を見せるのを待つ。
13時半。
待合室の時計がちょうどを告げる頃、
アイツは姿を見せた。
「神威、行くぞ」
ボクに声をかけて手荷物を持つと、
そのまま車の方へと歩いていく。
何度目かのアイツの車の助手席。
アイツはボクがシートベルトを締めたのを
確認して、流れるように車を走らせた。
ギリシャの街並みを再現した学園都市。
海沿いの道を走って、海神校の門から外に出ると、
一気に街並みは日本らしい空間になる。
「神威、徳力の当主宛に一通の手紙が届いた」
飛翔によって手渡された手紙には、
何かの刻印が押されていた。
その刻印を見つめて、慌ててあの日
ボクの手に刻まれた龍の証と見比べる。
似ているけど違う。
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