1.一通の手紙 

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「飛翔、これは?」 「万葉曰く、生駒の刻印と言うことだ」 「生駒?」 生駒・徳力・秋月。 徳力の家に伝わる本の中で、 この三つの一族の龍の物語が言い伝えられている。 ボクの一族にまつわるのは、雷龍翁瑛【らいりゅう おうえい】。 桜瑛が居る秋月にまつわるのは、炎龍【えんりゅう】 そして……この手紙を寄越した、生駒にまつわるのは、 蒼龍【そうりゅう】。 だけど…今のボクには、 雷龍とコンタクトとる術なんて持ち合わせていない。 ボクが感じたのは、 あの日……優しく降り注いだ金色の雨。 雨の中、ぼやけるように浮かんでいた龍のシルエット。 だから……雷龍が助けてくれたのだと思えた。 だけど……あれが、 雷龍だって言う確信は何処にもなかったんだ。 * 徳力家ご当主、徳力神威殿。 雷龍の一族の長となられし貴公に、 申し伝えたいことがあります。 明日【みょうにち】、19時。 華月殿の病室でお待ち申し上げる。 柊 * 「飛翔、19時に華月病室で会いたいと記されている」 「そうか。  行きたいか?」 「当主として行く」 「なら俺は立ち会うだけだ」 飛翔は車を走らせながら、ボクを見ることなく答えた。
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