1.一通の手紙 

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「お前、その服装」 「当主としての正装だ。  当主として客に会うのだ。  当然だろう」 そのまま地下の駐車場に向かったボクは、 飛翔が指さした愛車とは別に、 徳力の本社から呼び寄せたリムジンへと飛翔を呼びいれる。 「ボクの当主としての移動手段だ。  ボクの補佐役なら、その時間はこの移動に慣れろ。  いいな」 「あぁ」 飛翔は一言だけ頷いてまた黙り込む。 沈黙の車内のまま、神前までリムジンが走ると ボクたちは、華月の入院している特別室を目指していく。 「華月、見舞いに来た」 病室のドアを開けてボクが声をかけると、 そこには先客が居た。 「あなたが徳力のご当主」 先客が告げた途端、 ボクの後ろに居た、飛翔が「生駒の神子」と 言葉を紡いで病室へと入っていく。 「華月、どういうことだ?」 「ご当主、彼女は生駒の隠し神子。  柊佳【とうか】殿。  我が娘、夕妃の実のお母上です。  私の弟と寄り添った者にございます」 華月は静かに自らの関係を告げる。 華月の弟の名は……。 一族に伝わる家系図を脳裏に描いていく。 徳力櫻翼【とくりき おうすけ】。 櫻翼の奥方が、あの生駒の神子。 「失礼します。  お手紙を頂戴いたしまして、  まかりこしました」 話の途中、ドアの外から桜瑛の声が聞こえる。
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