One Love

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「……」 「……」  付き合い始めて二人きりの初のお買い物、通称デート。会話はなく、手を繋ぐこともなく、視線が交わることもなく、お互いは思慮に耽っていた。 「……」  やっぱりユウトは優しい。必ずと言っていいほど車道側を歩くし、立ち止まるときは半歩前に出ていつでも庇えるようにしてくれてるし、段差があると一声掛けてくれる。男なら当たり前と思う人がいるかもしれないけどこんなに自然と出来る人はそういないと思う。それに比べて私は…… 「……」  英理子まだ怒ってますよね。どうやって仲直りしましょうか。話しかけて相手にされなかったら虚しいですし、いやでも、ここで勇気を出さないとずっとこのままになってしまいますし少しでも男を見せないといけません! 「英理子、って前!前!」 「へ?っっっ!」  気がつくと英理子のすぐ目の前には電信柱が立っていてぶつかる瞬間強く目を閉じた。 「……痛くない?生温かい?」 「大丈夫ですか?」  英理子が目を開けると電信柱と顔の間に雄仁の手があった。 「あ、ありがと」 「せっかくの美人さんなんですからあざとかできたら勿体ないですよ」 「う、うん」 「行きますよ、もう少しでスーパーにつきますから」 「……」  私今すっごくドキドキしてる。助けてもらったこともそうだけどユウトの手が温かくて、とても大きくて…… 「えーりーこ?」 「ひゃっ!突然顔近づけないでよ!」 「わかりました!わかりましたからその手刀を早く納めてください!」 「ふん!ほら早く行くわよ」 「それはこっちの台詞ですよー」  先を行く英理子の後を追いかけ隣を歩いた。
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