One Love

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「それじゃあなによ!あんたは私に会いに来たって言うの?そんなわけ「そうですよ!」 「えっ……」 「こ、こんなタイミングで言うのも変かもしれませけど、僕は他の誰でもない英理子に会うためにこの部屋に来たんです」 「そ、そんなウソ通じるわけないでしょ……だって私は、あんたに散々酷いこと言ったし、たくさん叩いたし、いっつもいっつも厳しいことばっかりでいいところないし……それに……」  英理子は首を横に振りながらごにょごにょと口籠ってしまった。 「英理子……」  勘違いしてました。英理子は自分のことがキライで卑下しているんだと思っててそれが嫌だったんですけど、違うんです。ただ、自分に自信が持て無かっただけなんですね。 「ぷっ、あはははは!」 「へ?……ちょ、ちょっと!人が真剣に話してるのになんで笑ってんのよ!」  今にも掴みかかってきそうな英理子を前に雄仁はなんとか笑いを堪えた。 「ふふふ、はぁ、はぁ。英理子ってば僕に負けないくらいの大バカです」 「お、大バカ!?」 「そうですよ。酷いことを言った?たくさん叩いた?厳しいところばっかり?それがどうしたって言うんですか。僕は英理子のそういう所を引っくるめて好きなんですよ!」 「……すき?……すき?……!?なっ!……な、ななななな!」 「いつもいつもみんなのために嫌われ役を引き受けたり、僕が間違っていると誰よりも先にそれを指摘してくれたり、自分のことよりまずは人のことって考えられる英理子が大好きなんです!」 「ばっ、ば、ば……バッカじゃないの!そ、そんなの私なんかじゃあ……!」  『ない』その言葉を口にしかけた時、英理子の頭の中では数時間前の映像が流れた。 『ユウトは私の所なんて来てくれるわけないよね。散々酷いこと言ったし、暴力だって振るったから……それでも、もし、万が一ユウトが来てくれたら私は……』  本当は期待してた。もしかしたら来てくれるんじゃないかって。こんな私のこと好きって言ってくれるんじゃないかって。だからその時が来たら私も素直に気持ちを伝えようって決めた……そう決めたはずなのに。やっぱり本人を前にすると言葉が出ない。
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