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「英理子の気持ち聞かせてください。僕のことどう思ってるんですか?」
そ、そんな目で見ないでよ。私の性格知ってるでしょ。素直に……言えるわけないじゃない。
言葉に詰まる英理子を見て雄仁はため息を吐いた。
「はぁー……今から僕は英理子の言葉を反対に受け止めることにします」
「反対?」
「上と言えば下、右と言えば左、明るいは暗い。大体そんな感じです」
「一体なにを言って……あ」
そ、そういうことね。どうしてそうやって甘やかすのよ。あんたがそういう風に優しくするから私は甘えちゃうんじゃないバカ!……違うよ。本当にバカなのは素直になれない私の方。雄仁は少しでも私が言いやすいように考えてくれてるだけ。私がキチンと言えたらこんな迷惑かけないのに。
「それでは改めて聞きます。僕のことどう思ってますか?」
さっきよりも気持ちは楽だった。素直にならないことだったら専売特許でもあったから。
「あんたのことなんて……大っ嫌いよ!」
「!?」
「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い!ずーっと前から嫌いだったわよ!」
「はは……あははは……そうですか」
嫌いって言うのは好きって意味っていうのはわかってるんですけど、連呼されるとやっぱりダメージが……
「だから、つ、つっつつつ……付き合いなさいよ!」
「えっ……」
顔を真っ赤にしながら言う英理子を見て驚きから言葉を失ってしまった。
い、今付き合いなさいって言いましたよね。
「な、なんとか言ったらどうなの?」
「つ、付き合いなさいの反対は……付き合わないさい?」
わけがわからず考えてることが口から出てしまった。
「ち、違っ!付き合ってって言ってるのよ!反対はもう終わり!」
「反対は終わり。あ、あーっ!そういうことですか!」
「言わせるんじゃないわよバカ!」
「す、すみません。でもそうですか、やっと本心が聞けましたね」
顔を真っ赤にしながらも精一杯の勇気を振り絞って言ってくれたことはしっかりと伝わった。もちろん英理子の気持ちも。
「僕も英理子と付き合いたいですから両思いですね」
「あ、あんたがそこまで言うなら付き合ってあげるわよ!」
英理子が伸ばした右手に手を重ねしっかりと繋いだ。
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