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翌日。
「……んっ。んんー」
眠い目を擦りながら英理子は起き上がった。枕元の時計を確認すると短い針は七のところで止まっていた。
「もう、こんな時間……か」
あ、そうだ。私昨日雄仁に告白されたんだ。う、うぅぅ……思い出すだけでも恥ずかしいよ。忘れよう!さっさと、ダメ!忘れちゃダメ!しっかりとあの時のカッコイイユウトを脳裏に焼き付けておかないと!
数秒後、ぷしゅーと頭から煙を出しながら顔を真っ赤にしベッドに倒れた。
「ふふ、うふふふふ。彼女だって、なんていい響き」
枕を抱き締めながらベットの上を転がり悶える英理子には普段のしっかりした様子が微塵もなかった。
あ、そうだ。彼女らしく優しく起こしてあげよっと、もうユウトは私がいないとダメダメなんだから。
善は急げと言わんばかりに部屋を出る英理子だが付き合う前から毎日の様にユウトを起こしていたことには気づいてはいない。
雄仁の部屋。
コンコンと規則正しいノックの音を鳴らし部屋に入った。
「もう七時よ。夏休みだからってだら……だ……ら」
驚愕。
「……ん?んあ、えりこ?……おはよう、ございます。んー」
ボサボサの寝癖をそのままに体を伸ばしながら挨拶をする。
「あ、あんた……ど、どうしてお姉ちゃんと桃と一緒に……ね、寝てんの?」
「え?うわっ!本当だ。いつの間に」
左右を零と桃に挟まれ、足や腰を掴まれていた雄仁は起き上がることが出来なくなっていた。
「んぅーゆーうーとぉ」
「お兄ちゃーん」
ムニュっとしたそれを押し当てながら零は雄仁に抱きつき、桃は首元に頬をぴったりとくっつけた。
「ちょ、ちょっと!絶対起きてますよね!」
「んんー寝てる」
「ねむねむだよ」
嘘だ。絶対にわざとやってますよね。ってか英理子は……
「こーらー!あんた達!なにやってんのよ!!」
「きゃう!?」
「んきゃ!」
英理子の一喝で二人は小さくなった。
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