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「それじゃあみんな揃っていただきます」
「まーす」
「……ます」
明るい声が三つ聞こえるが英理子はそっぽを向いたままで雄仁はどこか気まずそうだった。
「そ、そう言えば二人は付き合い始めたんだって?」
暗い空気を変えるように零は話題を振った。
「昨日から付き合い始めてま「翌日には浮気されたけど」
「ですからあれは姉さん達が勝手に侵入してきて「言い訳?男らしくないんじゃない」
明らかに険悪ムードの二人に桃は零に耳打ちをした。
「れ、零お姉ちゃんなんかハイパー険悪なぅだよ。これ私達のせい?」
「おそらく朝のベッドに先に潜り込んだから怒ってるのよ。ここは私達がなんとかしないと」
「なんとかって言われても……」
「英理子姉……鈴……買って欲しいもの……ある」
「私も自分の買い物があるから構わないけどなにが欲しいの?」
「プリン……ほしぃ」
「プリンね。お姉ちゃん達は?」
「アイス!」
「チョコ!」
「はい、決まりね」
「あのー僕も……」
「は?」
英理子はゴミを見るような冷めた視線を雄仁に向けた。
「あぁーこの焼き鮭おいしいなぁー!」
うぅぅ、怖いからってなにを遠慮しているんだよ。せっかく会話のチャンスなのに。
「お兄ちゃん……」
「ユウト……」
「ごちそうさま。それじゃあ私は準備ができたら買い物行ってくるから」
「……よろー……」
英理子がいなくなったことを確認した零と桃はずいっと雄仁に寄った。
「ごめんねユウト」
「私達のせいで英理子お姉ちゃんと喧嘩中だよね」
「大丈夫ですよ、いつものことです」
「そのわりには顔が真っ青だよ」
「あ、あははは……どうなっちゃうんでしょうか?」
「強がらないでよお兄ちゃん!」
「すみません」
「鈴……名案……ある」
「本当ですか?」
ニコニコの鈴は雄仁になにかを耳打ちした。
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