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沙鴎は広げた手を見下ろすと、そこには美しい簪(かんざし)の光が溢れた。
桜を象った淡桃色の石しかついていない、という作りだが逆にそれがこの簪の良さを引き立てている。
「ーーこれは」
決して安価なものでは無いはず。
それに、前来た時に髪につけていた。
「駄目だ。受け取れない。」
しかし、見上げると少女はにこにこして、遥か彼方遠くで手を振っていた。
「またね!」
「あ!待て!」
これが沙鴎を変える事件になろうとは誰も思わなかっただろう。
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