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「どうしたのじゃ。」
気付けば体は勝手に動いていた。
手は自然とその少女の肩に触れた。
びくっ、と体を震わせた少女は沙鴎を、驚きの入り混じる目で見上げた。
目が大きく髪も黒く艶があり、淡桃色の石の髪飾りがとても映えた。
赤く腫れた目は、悲しみに満ちている。
「タマが...この子が死にそうなの...」
言葉の後に差し出されたのは、見るからに痩せ細った犬の子であった。
(名前からして猫かと思いきや...なんじゃ、犬か...。)
と思っていることはお首にも出さず、犬の子、もといタマを受け取った。
体は力無く、ぐったりとしている。
触ってでも、骨が指に当たるほど痩せ細っていた。
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