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ひとつ下の弟、純(じゅん)は、中学卒業後に東京の高校へ進学し、そのまま大学へ行き、
毎年夏だけ帰省するようになった。
「またちょっと背伸びたね。……彼女できた?」
毎年繰り返す、再会のあいさつ。
純の頭頂部に手を伸ばすと、それは瞬時に純に奪われ、ぐいっと強く引き寄せられる。
「っ……、ん……」
目を閉じる隙も与えないキスが、私に呼吸を忘れさせる。
「っ……は……ぁ」
絡んだ舌を一瞬離し、短い息継ぎをする。
純は後ろ手に引き戸を閉め、私をふたりきりの空間に閉じ込めた。
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