第1章

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いつからかあたしは怒る事を忘れた。それだけじゃない。苛立ちや妬ましさ、ウザイとか腹立たしいとか、怒りに関する感情があたしには無い。欠落していて、人として不完全な状態だ。 別に何か不都合がある訳じゃない。あたしは毎日ストレス無く笑えて居られるし、誰とでも仲良くなろうとする至っていつも通りのあたしだ。 でもたまに、何をされても何を言われても怒らないあたしを不気味に思う輩が居る。 そう、まさに今、目の前に居る顔面美少女で中身がブスな少女達の様な輩だ。 「貴女ねぇ!気色悪いのよ!いつもヘラヘラヘラヘラしてて!気でも狂ってるんじゃないの!?」 とまぁ、こんな感じだ。 女子というのは集団で一人を囲うのが好きなようで、あたしを壁に追い込み数人で半円を描いている。そして次々飛び出てくる罵詈雑言。 「まぁまぁ落ち着きなはれや。仲良き事はなんとやらだぞ?」 「……仲良き事は美しきかな」 「そうそれ。ありがとね」 教えてくれた小柄美少女にニッコリスマイルで礼を言うと、小柄美少女は複雑そうにして、踵を返した。 「ちょっと!?何処に行くのよ!」 「なんかもう、自分がバカみたいに思えてきたから、私は抜ける。ごめんね篠塚(しのずか)さん」 「良いって事よ!んじゃまた明日~!」
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